GHS・SDS・法規制ニュース(2020年)

GHS分類、SDS作成、化学品管理に関連した各国の法規制情報をご提供いたします。

国連

エレンマッカーサー財団※と国連環境計画は、2020年度の新プラスチック経済グローバル・コミットメント※に関する進捗レポートを公表した。


進捗レポートでは、プラスチック循環経済の構築に向けた2025年の目標に対する、プラスチック包装のリサイクル、カーボンブラック顔料や使い捨てのビニール袋やストローなどの段階的な廃止等の取り組み状況が報告されている。

  • プラスチック包装のリサイクル率は、前年比22%増加し、6.2%がリサイクル商品になっている。これにより未使用プラスチックの0.1%が削減された。
  • 現在、署名した企業では、未使用プラスチックやプラスチック包装について、31%の削減を目標としている。
  • プラスチック削減の取組みは、使い捨て包装を減らすのではなく、紙等への代替やプラスチック使用量の削減(厚さを減らすことによる軽量化等)が図られている。
  • リサイクル可能なプラスチック包装は、前年度からわずかに増加したが(0.1ポイント増加)、まだ低い状態であり、再利用パイロット活動をさらに加速する必要がある。

※エレンマッカーサー財団: 英国を拠点とする慈善団体で、プラスチック汚染、気候変動、生物多様性の損失などの課題への取組みを推進している。


※グローバル・コミットメント: 新しいプラスチック経済を推進するためのグローバル・コミットメントとして、エレンマッカーサー財団は民間企業の関わりを、UNEPは各国政府の関わりを主導している。

参考資料

UNEP(国連環境計画)は、ニュースレター「廃水中のマイクロプラスチック:解決策に向けて」を公開した。


多くのプラスチック製品は生活に不可欠であるが、プラスチック製品は、摩耗や劣化によりマイクロプラスチック(サイズが5mm未満と定義される)の原因となっている。自動車タイヤの摩耗、衣類の洗浄による摩耗である。また、マイクロプラスチックは、洗面用品や化粧品に意図的に添加され環境中に放出される場合もある。


マイクロプラスチックによる水質汚染は複雑で多面的であり、それを効果的に管理するにはさまざまな対応が必要である。
例えば、

  • 合成繊維の洗浄に由来するマイクロプラスチックが下水道や環境中に放出されるのを防ぐための家庭用システムの開発
  • 化粧品のマイクロビーズやマイクロプラスチック管理のための効果的な法規制
  • マイクロファイバーを大量に放出する生地や製品への課税
  • 陸上から水域に入るマイクロプラスチックの流出管理
  • 廃水処理と下水汚泥の管理 等

米国

ニュージャージー州議会は、使い捨てビニール袋や発泡スチロールの容器を禁止する法案を可決した。


この法案では、店舗や外食産業において、プラスチック製のキャリーバッグなどの使い捨てプラスチックを顧客に提供することを禁止している。

  • プラスチック製のキャリーバッグ
  • 発泡スチロール容器

法案の禁止は1年誤に発効する。

参考資料

  • A1978 AcsAca (ACS/1R) Prohibits provision or sale of single-use plastic carryout bags, single-use paper carryout bags, and polystyrene foam food service products; limits provision of single-use plastic straws; appropriates moneys from Clean Communities Program Fund for public education
    https://www.njleg.state.nj.us/bills/BillView.asp?BillNumber=A1978

米国化学工業協会(ACC、American Chemistry Council)は、マイクロプラスチックに関するサイエンス誌の科学論文※について、声明を発表した。


※米国西部の国立公園等では、1000トン/年以上のプラスチック粉塵が発生しているが、その1/4は、カーペット、衣服、ペンキ等の生活用品から発生したプラスチックの微細な断片であった。

ACCの声明
ACCはマイクロプラスチックがヒト健康や環境に及ぼす影響について、科学的に解明するように尽力している。現在の科学文献は、ヒト健康が非常に低いレベル(通常レベル)のマイクロプラスチックのばく露で影響されることを示唆するものではなく、WHO(世界保健機関)は、飲料水によるヒト健康への懸念を示す証拠はないと結論している。

ACCは、マイクロプラスチックの潜在的な影響を理解、評価するためのリスクベースのアプローチを強く支持しており、世界の化学工業協会と連携して、マイクロプラスチックの評価に関するリスクフレームワークの開発を支援している。

マイクロプラスチックに関する取り組みの第一歩は、発生源について調査し、環境中にマイクロプラスチックが放出されないよう、プラスチック廃棄物を適切に処理するための、革新的な技術や固形廃棄物に対するインフラの開発である。

ACCのプラスチック部門は、2030年までにすべての米国のプラスチックパッケージをリサイクル・回収可能は製品に、2040年までに米国内のすべてのプラスチックパッケージを再利用、リサイクル、または回収しする目標を設定している。

米国カリフォルニア州では、カリフォルニア州安全飲料水法(Safe Drinking Water Act、SDWA)に基づいて、飲料水中の汚染物質を特定し、汚染物質の監視や水源の改善が求められる。


2018年9月、マイクロプラスチックへの対応として、今後4年間でマイクロプラスチックの定義、飲料水の検出法、検出結果の公開等の対応が求められた。

~2020年7月1日
  • 飲料水中のマイクロプラスチックに関する定義
~2021年7月1日
  • 飲料水中のマイクロプラスチック検出法
  • 飲料水中のマイクロプラスチックの測定と報告・公開
  • ガイドラインの策定
  • 飲料水中のマイクロプラスチックを分析するための研究所

2020年3月19日、「飲料水中のマイクロプラスチック」の定義(案)に関するスタッフレポートが公開された。
「飲料水中のマイクロプラスチック」については、固形の高分子材料で、化学物質等が添加されたものもあり、少なくとも2次元の粒子で、1μm以上、5,000μm未満の粒子と定義されている。

カナダ

カナダ政府は、プラスチック汚染に関する科学的評価報告書(案)を公表した。
この報告書は、プラスチック汚染のヒト健康・環境に対する潜在的なリスクに関する科学的評価の現状を要約したもので、プラスチック汚染に関する将来の研究や規制方針に資する情報を提供することを目的としている。


カナダでは、プラスチック廃棄物の約1%(2016年、29,000トン)が環境中に放出されると推定されている。
プラスチックの劣化・分解速度は非常に遅く、温度や光などの複数の要因の影響を受ける可能性がある。水中での劣化速度は温度に依存し、冷水中では遅くなる。また、光により分解が促進されるが、暗所での劣化は遅い。酸化は土壌中のプラスチックの分解を促進するが、それでも速いものではない。従って、プラスチック汚染は増加し続けると予想される。


プラスチックは、自動車、衣類、家具を含め多様な生活・家庭用品から環境中に放出されている。水系では、使い捨てプラスチックがプラスチックごみの大部分を占め汚染原因となっている。例えば、ボトルキャップ、プラスチックバッグ、プラスチックボトル、ストロー、タバコの吸殻等である。マイクロプラスチックは、堆積物や土壌にも含まれており、淡水と海洋環境の底質にマイクロプラスチックが蓄積する可能性がある。空気中でも屋内外の空気からも検出されている。
食品中のマイクロプラスチックに関するデータは限られているが、魚介類(ムール貝、アサリ、カキ等)で検出されている。また、ボトル入り飲料水からも検出される。


プラスチック汚染は、生物とその生息地に影響を与えることが示されており、プラスチックの絡み合いによって生物が窒息するなど物理的な損傷による被害が報告されている。

ヒトは食物や飲料水からマイクロプラスチックを摂取したり、屋内外の空気から吸引する可能性がある。マイクロプラスチック関連産業に従事する作業者で、種々の呼吸器症状が発生したとの報告があるが、マイクロプラスチックのヒト健康影響に関する情報は限られている。
物理的な影響に加えて、プラスチック中に含まれる有害化学物質の漏出も懸念される。プラスチックは、非結合性のモノマーや添加物を含んでおり、さらに環境中において残留性有機汚染物質を吸着する可能性があり、有害化学物質の媒体となり得る。


環境および人間の健康に対するプラスチック汚染の影響を理解するために、この報告書では、データや情報のギャップを補うために、以下の分野における研究の促進が推奨されている。

  • マクロプラスチックのサンプリング、定量、特性評価など、標準化された測定方法の開発
  • マイクロプラスチックのヒト健康影響、生態影響評価
  • マイクロプラスチックのヒトや生態のばく露評価
  • 土壌などの特性が不十分な環境における挙動等のモニタリング、評価

参考資料

欧州

ECHA(欧州化学品庁)の社会経済分析委員会(SEAC)は、化粧品、洗剤、肥料などの製品にマイクロプラスチックを使用することを禁止し、さらに、スポーツ競技場の人工芝用の充填剤としての使用を禁止する制限案を採択した。

背景
約42,000トン/年のマイクロプラスチックが、マイクロプラスチックを含む製品から環境に放出されており、さらに増加することが予測されている。最大の原因は、スポーツ競技場の人工芝で使用される粒状の充填材で、最大16000トン/年が放出されている。

2019年1月、ECHAは、EU市場に投入される製品について、マイクロプラスチックの意図的な使用を幅広く制限することを提案した。制限案は、循環プラスチック経済を目指し、気候変動への取組みも考慮したEUのプラスチック戦略に基づくもので、20年以上にわたって50万トンのマイクロプラスチックの環境への放出を防ぐことを目指している。
制限案
意図的にマイクロプラスチックが添加された製品について。EU市場で禁止するものである。例えば、化粧品、クリーニング・ランドリー製品、肥料、植物保護製品、種子コーティングが挙げられている。塗料やインクなどにもマイクロプラスチックが含まれている場合があり、これらの使用は禁止提案されていないが、残留や放出について監視することになっている。

また、スポーツ施設における人工芝のマイクロプラスチック充填材については、放出を防ぐためのいくつかのオプションが推奨され、6年間の移行期間が設けられており、その後市場への投入が禁止される。

参考資料

欧州化学工業連盟(Cefic)は、化学品のリサイクルに関する仮想展示会「Virtual Exhibition on Chemical Recycling」を公開している。


ヨーロッパでは、毎年約3,000万トンのプラスチック廃棄物が収集されているが、その85%が最終的に埋め立てられるか、焼却されている。これは、CO2の発生源であるだけでなく、貴重な資源の浪費である。化学業界はリサイクル技術により、プラスチックを分解し、それらを貴重な二次原料に変換して、化石資源から作られたものと同様の品質の新しい化学物質やプラスチックを生産することができる。


これまでに、食品包装、冷蔵庫部品、マットレス、カーペット、自動車のダッシュボードなどの開発に成功しているが、さらに次のステップとして、これらの技術を産業規模で展開することを計画している。


仮想展示会では、「プラスチックの抽出」「基本的な構成要素に分解」「原材料に変換」の3つが紹介されている。

プラスチックの抽出
このプロセスでは、選別されたプラスチック廃棄物を溶解してポリマーを抽出し、それらから新しい再生プラスチックを製造する。熱と溶剤を使用して、プラスチックを元々のポリマーと添加剤の溶液に溶解し、添加剤をポリマーから分離する。
基本的な構成要素に分解
選別されたプラスチック廃棄物がモノマー(基本的な構成要素)に分解され、プラスチック生産にフィードバックされる。化学、溶媒、熱のさまざまな組み合わせを使用して、ポリマーをモノマーに分解する。

原材料に変換
混合プラスチック廃棄物が石油またはガスのような原料(原材料)に分解され、プラスチックを含む化学物質の製造に使用される。反応器内の熱と化学物質を使用して、プラスチック廃棄物を液体、油のような原料(熱分解)または気体の原料(ガス化)のいずれかに分解する。

大規模な化学リサイクル技術は、化学産業は資源効率を高め、プラスチックの循環経済への移行に有用なものとなる。価値がないものとして焼却されていたプラスチック廃棄物は、学リサイクルにより経済的に魅力的な二次原料となり得る。これにより、「廃棄物志向」から「資源志向」への移行が加速し、二次原料としての新たな市場価値の創出に役立つと確信する。

廃棄物輸送に関する2006年6月14日付欧州議会・理事会規則1013/2006の付属書IC、III、IIIA、IV、V、VII、およびVIIIの修正(案)が公表された。


この法律は、2019年にバーゼル条約で合意されたプラスチック廃棄物に関する決定を実施するために、欧州から非OECD諸国への有害でリサイクルが困難なプラスチック廃棄物の輸出を禁止し、廃棄物をOECD諸国に輸出するための管理手順を設定している。一方で、有害でない廃棄物の欧州内輸送について規制から免除している。2021年1月1日に発効する。

修正内容(概要)
バーゼル条約で合意された内容を反映して、廃棄物輸送規制の付属書III、IIIA、IV、V、およびVIIIが変更される。
  • バーゼル条約で合意された、有害プラスチック廃棄物に関する新しいエントリ(A3210)を廃棄物輸送規則(付属書V)に追加する。また、OECDで合意された有害プラスチック廃棄物に関する新しいエントリ(AC300)を、廃棄物輸送規則の付属書IVに追加する。
  • バーゼル条約で合意された無害なプラスチック廃棄物に関する新しいエントリ(B3011およびY48)を廃棄物輸送規則(付録V)に追加する。(欧州から第三国への輸出入に限る)
  • バーゼル条約で合意された特定の変更を考慮した、欧州内の輸送に関する廃棄物輸送規則(付録IIIおよびIV)に、無害なプラスチック廃棄物の新しいエントリを含める。
  • 上記変更に伴って、プラスチック廃棄物の混合物に関する廃棄物出荷規則の付属書IIIAの文章を改訂する。
  • 加盟国間で輸送する際に、グリーンリストに掲載されたプラスチック廃棄物の新しいエントリを参照する可能性について、付録VIIに追加する。
  • バーゼル条約締約国会議によって採用された廃棄物の環境的に健全な管理に関する新しいガイドラインとガイダンス文書に従って、技術ガイドラインとガイダンス文書の付属書VIIIのリストを更新する。

参考資料

欧州化学品庁(ECHA)のリスク評価委員会(RAC)は、意図的に添加されたマイクロプラスチックの使用制限、また生分解性ポリマーについて、より厳しい基準を採択した。


採択した主な項目を抜粋する。

  • 欧州(EU)および欧州経済領域(EEA)で上市される製品に意図的に添加されたマイクロプラスチックの濃度を0.01重量%濃度に制限する。
  • 生分解性ポリマーについて、試験方法を定め、制限から除外されている生分解性ポリマーを特定するための基準を定める。
  • 人工芝ピッチの充填材としてのマイクロプラスチックの使用について、リスク管理措置の有効性に疑問があるため、6年の移行期間後、完全な禁止する。
  • 「マイクロプラスチック」の定義について、ECHAは、製品(混合物など)のマイクロプラスチックを検出する分析方法を開発中であるため、マイクロプラスチックのサイズの下限値について100ナノメートルとしているが、RACは、サイズの下限を必要としないことを推奨する

今後、ECHAの社会経済分析委員会(SEAC)の評価を経て、両委員会の総合的な意見が2020年末までにまとめられ、その後、EU委員会や欧州議会によって精査される。

参考資料

欧州食品安全期間(EFSA)は、2020年6月8日、9日、ポルトガル・リスボンで、第25回の科学コロキウムとして「食品中のマイクロプラスチックおよびナノプラスチックのヒト健康リスクを評価するためのアプローチ」を開催する。


マイクロプラスチックは、サイズが5mm未満のプラスチックの小さな粒子であり、ナノプラスチックはさらに小さく、1〜100ナノメートルである。


2016年以来、EFSAは、食品中での濃度とばく露に伴うヒト健康影響について、データ収集の必要性を認識し、その後、マイクロプラスチックやナノプラスチックについて多くの研究成果が報告されたが、食品の安全性について結論は得られていない。


科学コロキウムでは、次のような議論が期待されている。

  • ホルムアルデヒド
  • ポリ塩化ジベンゾ-p-ダイオキシン(PCDD)
  • ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)

参考資料

ナノテクノロジー工業協会(NIA、Nanotechnology Industries Association)は、プラスチックの廃棄等に関する各種の報道や報告書において、しばしば「ナノプラスチック」という用語が使用されるが、その定義が曖昧であることに懸念を示している。
プラスチックの小片は、5 mmより小さいものをマイクロプラスチックと定義され、さらに、ナノスケールのプラスチック粒子を区別するために「ナノプラスチック」という用語が用いられている。(粒子サイズが100 nm以下のもの)


NIAは意見書において、「ナノプラスチック」はメディアや科学的出版物等で頻繁に使用される用語であり、欧州委員会のナノマテリアルに関する定義に従って、ナノスケール(100 nm以下)のプラスチックを記述したものである。
しかし、ナノマテリアルと同様に、意図的に製造された「ナノプラスチック」と、より大きなプラスチックの劣化や摩耗により偶発的に生成する「ナノプラスチック」粒子を区別するべきであると主張している。

  • 製造された「ナノプラスチック」:ナノスケールでの特性を考慮して、意図的にナノスケールで製造されるもの
  • 偶発的な「ナノプラスチック」:元の大きな材料からプラスチックの劣化や摩耗によって発生するもの

現在、意図的に製造されたナノプラスチックはほとんどなく、ナノプラスチックの使用は主に研究所内での研究目的に限定されていることから、環境中で検出されるナノスケールのプラスチックは、意図的に製造されたナノ製品から放出されたものではない。
「ナノプラスチック」という用語を単独で使用すると、製造されたナノマテリアルと環境中のすべてのナノスケールのプラスチック粒子が混同される懸念があり、すべてのナノマテリアルにマイナスイメージを与える可能性が懸念される。「ナノプラスチック」という用語の曖昧で不明確な使用は、世界のナノマテリアルに影響を与え、ナノマテリアルの有益性を損ねる危険性がある。

参考資料

英国

英国政府は、車のタイヤから放出された粒子が、河川や海洋環境におけるマイクロプラスチックの重要な発生源である可能性を示唆する研究報告を発表した。


この研究では、タイヤ粒子と合成繊維に着目し、工場廃水、道路に隣接する雨水排水、路側から50 m以内の大気について、英国南西部の複数の場所から採取した試料を解析した。


調査した3つの経路すべてにおいてタイヤ粒子と合成繊維が検出された。タイヤ粒子は合成繊維よりも多量に含まれていた。タイヤ粒子については、道路から雨水排水への流入、合成繊維については、大気から落下・堆積が主な汚染経路である可能性が示唆された。工場廃水から検出された合成繊維とタイヤ粒子は少量であった。


本研究により、これまでタイヤ粒子がマイクロプラスチックの主な発生源であるという仮説が証明された。


これまでマイクロプラスチックの発生源として、化粧品中のマイクロビーズが着目され、深海から北極海までの世界の海で広く検出されてきた。今後は、タイヤ粒子、合成繊維の流出防止が必要となり、洗濯機のフィルター、生活用水の処理方法、道路脇の排水路の変更など、研究領域を特定して課題解決に向けた取り組みが求められる。

参考資料

フランス

再利用やリサイクルの促進による廃棄物の削減と循環経済の構築を目的とした「廃棄物と循環経済との闘いに関する2020年2月10日の法規制No. 2020-105(1)」が公布された。


生産者の責任による回収・リサイクルが義務付け、リサイクル部品による修理に関する情報の伝達、プラスチック規制の強化など、循環経済に向けた生産者や消費者の取組みが規定されている。


2040年に使い捨てプラスチックの上市(市場への投入)を禁止する長期的な展望を設定し、以下のような使用禁止のスケジュールが設定されている。

  • 2020年1月1日:カップ、グラス、皿
  • 2021年1月1日:ストロー、花吹雪、ステーキ用ピック、カップ用ふた、ナイフ・フォーク・箸などのカトラリー、マドラー、プラスチックのフィルムが付いた皿、発泡ボリスチレンの容器・ボトル、風船用スティック
  • 2022年1月1日:ティーバッグ、野菜・果
  • 2023年1月1日:ファストフードでのカップ、グラス、カトラリー(再利用可能なものと置き換え)

また、マイクロプラスチックについて、以下のような制限が規定されている。


1)意図的に添加されたマイクロプラスチックを0.01%以上含有する製品はマイクロプラスチックを含む製品と見なされる。


2)禁止事項

  • 固形プラスチック含む剥離や洗浄目的の洗い流すタイプの化粧品(環境中に残留する可能性が低い天然由来の粒子を除く)
  • 医療機器および体外診断用医療機器(2024年1月1日~)
  • すべての洗い流すタイプの化粧品(2026年1月1日~)
  • 洗剤や洗浄製品(遅くとも2027年1月1日~)

3)除外規定

  • 工業用地で使用される場合
  • ヒトまたは動物用医薬品の製造に使用される場合
  • マイクロプラスチックの環境への放出を技術的に制限・回避し、マイクロプラスチックが焼却や有害廃棄物として廃棄される場合
  • マイクロプラスチックの定義を満たさなくなるような方法で使用される場合
  • マイクロプラスチックが使用中に固体マトリックスに恒久的に組み込まれ、封じ込まれる場合

参考資料

デンマーク

デンマーク環境保護庁は、洗濯排水中のマイクロプラスチックや有機物の除去を目的とした分散処理ソリューションの開発に関するプロジェクトの検討結果を公表した。

背景・目的
マイクロプラスチックの環境中への排出について、都市排水は重大な発生源として注目されている。例えば、衣類によるマイクロプラスチック繊維、使用中のカーペットやマットの摩耗によるプラスチックやゴムの粒子は、掃除や洗濯等により排水となって環境中に放出される。

このプロジェクトでは、化学凝集、沈殿、バンドパスフィルター技術の組合わせによる分散処理ソリューションの開発により、洗濯排水中のマイクロプラスチックと有機物の除去を検討した。
マイクロプラスチックとマイクロゴムの分析方法
分析方法は、ラマン分光法に基づいて、過去5年間にデンマーク技術研究所によって開発された方法である。

このラマン分光法に基づく分析方法の開発により、直径15〜20 µmの粒子(通常、1つのサンプルで10,000〜30,000個の粒子)の測定が可能となり、この方法では、一般的なプラスチックとタイヤのゴムをすべて識別し、同時に砂やアスファルトなどの他の異物を除外することができた。
分散型排水処理ユニットの開発
洗濯排水中のマイクロプラスチックと有機物を除去するための分散型排水処理ユニットは、AL-2Teknikの分離技術に基づいている。実験室試験が実施された後、分離技術に基づくパイロットプラントが開発され、パイロットテストが実施された。

その結果、100万個のマイクロプラスチック粒子(直径100 µm)が除去され、洗濯排水中のマイクロプラスチックとマイクロゴム(粒子サイズ> 10 µm)の98%、有機物の66〜82%を除去することができた。

参考資料

デンマーク環境保護庁の国立プラスチックセンターは、バイオプラスチックに関するガイダンスを公表した。


バイオプラスチックは、従来の石油ベースのプラスチックよりも環境にやさしいプラスチックをイメージさせることから、商用目的でしばしば使用されているが、必ずしもそうとは限らない。


バイオプラスチックは、大きく3つのグループに分類できる。

  • バイオベースの非生分解性プラスチック
  • バイオベースの分解性プラスチック
  • 石油ベースの生分解性プラスチック

バイオベースのプラスチックは、サトウキビやトウモロコシなどの再生可能な資源から製造できるという利点がある。例えば。最も一般的に使用されるプラスチックであるPET、PE、PPは、石油ベースのプラスチックと同じ特性の製品が、バイオプラスチックでも製造可能である。ドロップインプラスチックと呼ばれており、従来の石油ベースのプラスチックと一緒にリサイクルすることもできる。


生分解性プラスチックは、特殊な微生物によって水、CO2、メタン、有機物等に分解される可能性のあるプラスチックである。ただし、一部の生分解性プラスチックは、ある環境下では非常に急速に分解するが、別の環境では分解に100年以上の年月が必要になる。例えば、生分解性プラスチックは、堆肥によって最も効果的に分解されるが、温度、湿度、酸素レベル、微生物の量と種類などの環境条件により分解速度が異なる。


生分解性プラスチックには、食品包装、プラスチックバックなど多くの用途が期待されるが、まだ市場が小さいため(世界のプラスチック生産の1%)、リサイクルが進んでいない。当面、廃棄物として処理する必要がある。

環境食品省は、洗い流すタイプの化粧品に含まれる非分解性マイクロプラスチックを禁止する法規制(案)を公表した。


デンマークのマイクロプラスチックに関する規制は、当初2020年1月を予定していたが、2019年の秋に欧州委員会が異議を唱えたことから、今回の法規制(案)では2020年7月に延期されている。なお、デンマークの化粧品業界では、2012年から2017年にかけて、97.6%のマイクロプラスチック・マイクロビーズの使用が段階的に廃止されている。


この禁止事項は、5 mm以下の水に不溶性を示す固体プラスチック粒子に適用され、非生分解性マイクロプラスチックを0.01%以上の濃度で含む化粧品の輸入・販売が禁止される。生分解性プラスチックと見なすための基準も示されている。

参考資料

ノルウェー

ノルウェーの気候環境省は、プラスチック廃棄物について2019年の「バーゼル条約改正」に準拠して国内法を強化することを公表した。

2019年のバーゼル条約改正
2019年のバーゼル条約に関する第14回締約国会議(COP14)において、プラスチックごみの環境上適正な管理の促進等のためのプラスチックごみに関するパートナーシップを設立することや同条約の附属書を改正し、汚れたプラスチックごみを条約の規制対象とすることが決定された。
ノルウェーの規制強化
ノルウェーはEUの規制に準拠して、非OECD諸国へのバーゼル規制プラスチック廃棄物の輸出の禁止を導入する。今後、プラスチック廃棄物を輸出する場合は、事前に当局に通知する必要がある。
また、輸出前にプラスチック廃棄物をよりクリーンな画分に分類する必要があることから、リサイクル率の向上にもつながると期待されている。

参考資料

アルゼンチン

アルゼンチン議会は、意図的に添加されたプラスチック等を含む化粧品・歯科用口腔衛生用品の製造、輸入、販売を禁止する法案(法律27602)を可決した。


固体粒子である石油由来、生物由来の合成ポリマーで、非水溶性で分解性が低い、5mm未満のマイクロプラスチック、マイクロビーズを意図的に添加した化粧品や歯科用口腔衛生用品(歯磨き粉等)について、製造、輸入、販売を禁止している。

参考資料

ニュージーランド

ニュージーランド環境省は、レジ袋の禁止に引き続き、リサイクルが難しい使い捨てプラスチック製品を段階的に廃止することを提案している。

対象製品
ニュージーランドの廃棄物管理システムにおける問題からリサイクルが難しく、最終的にはゴミとして廃棄される7つの使い捨て製品が対象となっている。
  • 使い捨てビニール袋
  • 食器(例:プラスチックプレート、ボウル、カトラリー)
  • 堆肥化できない農産物のステッカー
  • 飲料用のスターラー
  • 使い捨てカップと蓋
  • プラスチック綿棒
  • <プラスチックストロー/li>
その他
政府は、下記製品についても段階的に廃止することを提案している。
  • PVC製の食品および飲料包装
  • ポリスチレン製の食品および飲料包装
  • その他の発泡スチロール包装
  • オキソ分解性プラスチック製品

PVCとポリスチレンについては、PET等の他のプラスチックよりもリサイクルが難しく、また、多くの製品では、リサイクルが容易なプラスチックへの代替が可能である

参考資料

中国

国家開発改革委員会は、さまざまな分野で使用されているプラスチック製品について、製造、販売、使用の禁止や制限の標準化を目的として、禁止、制限されるプラスチック製品のリスト(案)を公表した。

プラスチック製品の製造および販売の禁止
  • 厚さ0.025 mm未満の超薄型プラスチックショッピングバッグ
  • 厚さ0.01 mm未満のポリエチレン農業用マルチ
  • 医療廃棄物から作られたプラスチック製品
  • 使い捨て発泡プラスチック
  • 使い捨てのプラスチック綿棒(非分解性のプラスチック棒)
  • プラスチックビーズを含む日用化学製品(5mm以下の固形プラスチック粒子を含む、角質除去、洗浄などの化粧品、石鹸、歯磨き粉等)
プラスチック製品の使用の禁止・制限
  • 非分解性のショッピングバッグ(調理済み食品等を梱包する食品の衛生・安全目的での使用を除く
  • 非分解性の使い捨てプラスチック食器(ケータリングサービスで使用される非分解性の使い捨てプラスチックランチボックス、カップ、ナイフ等)
  • 非分解性使い捨てプラスチックストロー(医療機器や牛乳や飲料等の食品包装にテープで付着するものを除く)
  • ホテルやレストラン等の使い捨てプラスチック製品(プラスチック製の櫛、歯ブラシ、シャワーキャップ、シャンプーボトル、ランドリーバッグなど)
  • 配達用の非分解性プラスチック包装
  • 配達用の非分解性プラスチック織布袋
  • 配達用の非分解性プラスチックテープ

参考資料

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