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GHS・SDS・法規制ニュース

GHS分類、SDS作成、化学品管理に関連した各国の法規制情報をご提供いたします。

米国

米国食品医薬品庁(FDA)は、ペルフルオロ及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)を含む耐油剤を用いた食品包装や板紙包装の販売を、製造業者が自主的に停止したことを公表した。

FDAは2020年に、上市後の安全性評価に基づいて、特定の種類のPFASを含む耐油剤(grease-proofing agents)注)の食品包装等の食品接触用途について、製造業者から米国での販売停止に関するコミットメントを得ていた。
今回の発表は、これらの自主的なコミットメントを達成したことを示している。また、FDAは、異なる種類のPFASについても食品接触用途での販売を停止したことを確認したと述べている。

これらの食品接触用途について、最終販売日から市場供給分を消耗するまで約18ヶ月かかる可能性があるが、多くの製造業者は停止期限日よりも前に市場から撤退している。今後、FDAは、食品包装におけるPFASの使用を監視するための分析方法を開発する予定である。

注)耐油剤(grease-proofing agents)は、紙や紙板包装に塗布され、グリースや油の漏れを防ぎ、耐水性を持たせるために使用されている。PFASを含む物質は、ファストフードの包装紙、電子レンジ用ポップコーン袋、テイクアウト用紙製容器、ペットフード袋に使用されていた。

参考資料

カナダ

カナダの環境・保健省は、N-メチルピロリドン等の2物質について、ヒト健康影響が懸念されることから、カナダ環境保護法(CEPA)の有害物質リスト(スケジュール1)に収載することを提案している。

対象物質
  • N-メチルピロリドン(CAS RN 872-50-4、N-methylpyrrolidone、NMP)
  • N-エチルピロリドン(CAS RN 2687-91-4、N-ethylpyrrolidone、NEP)
       

いずれも自然界には存在しない人工的な化学物質である。電気・電子製品、金属製品、鉱業製品、紙製品、プラスチック・ゴム材料の製造等に広く用いられており、接着剤やシーリング材、自動車用内装クリーナー、清掃・脱脂製品、塗料・コーティング、ペイントリムーバー等に含まれている。また、NMPは、パーソナルケア製品、ネイルケア、まつ毛接着剤や接着剤除去剤、ヘア製品にも含まれ、害虫駆除製品の成分としても使用されている。

NEPは、化学品の製造、接着剤やシーリング材、塗料・コーティング、プラスチック・ゴム材料の製造に使用されている。

有害性について

    NMPの消費者へのばく露は、接着剤、パーソナルケア製品等の消費者向け製品の使用によるもので、経皮ばく露、吸入ばく露の可能性が考えられる。NEPに関しては、消費者製品に含まれないため、ばく露される懸念は低いと考えられる。

    NMPの吸入ばく露については、ラットの生殖試験における着床率の低下から、無毒性量は437mg/L(吸入ばく露、ヒト換算値)と推定されている。また、経皮ばく露については、ラットの繁殖性試験において、雄の生殖能への影響が認められたことから、無毒性量は6.5mg/kg体重/日(ヒト換算値)と推定されている。一方、ヒトのばく露量については、甲板工事用接着剤では18.63mg/L(吸入)、自動車内装クリーナーでは0.26mg/L(吸入)、リンスでは0.03mg/kg体重/日(経皮)、まつ毛用接着剤では0.02mg/kg体重/日(経皮)と推定される。一部の製品では吸入ばく露量が多いことから、安全性が担保できないと判断されている。

カナダの環境・保健省は、アルミニウム化合物の2物質について、ヒト健康影響が懸念されることから、カナダ環境保護法(CEPA)の有害物質リスト(スケジュール1)に収載することを提案している。

背景

    カナダ当局は、アルミニウム化合物として55物質に焦点を当て、ばく露や有害性について検討しており、その結果、2物質についてはリスクがあると判断している。 これら55種類のアルミニウム化合物は、アート・クラフト等の趣味の材料、自動車、建築資材、 インク、トナー、着色料、パーソナルケア製品(化粧品、天然健康食品、非処方医薬品)、塗料・コーティング、害虫駆除製品、プラスチック、 テキスタイル等の様々な製品に含まれている。

対象物質
  • 塩化アルミニウム(CAS RN 1327-41-9、aluminum hydroxychloride)
  • 塩化アルミニウム5水酸化物(CAS RN 12042-91-0、aluminum chlorohydrate)
  • 固形分離剤および処理補助剤として使用されており、多くの産業用途にも使用されている。また、制汗剤や消臭剤の成分として使用されている。

有害性について

    上記2物質は、エアロゾル除菌剤や制汗剤に含まれることから、消費者はこれらの製品の使用時にばく露される可能性がある。これらの物質は、ラットにおける6か月間反復吸入ばく露において、肺や気管支リンパ節の肉芽腫性肺炎が発生することが知られており、無毒性量は0.045mg/m3(ヒト換算値)とされている。一方、エアロゾル除菌剤/制汗剤の使用によるヒトのばく露量は、エアロゾル制汗剤で0.012~0.014mg/m3と推定され、無毒性量とヒトばく露量を比較すると、3倍程度のばく露マージンしかないことから、安全性が担保できないと判断されている。

欧州

欧州化学品庁(ECHA)は、2物質についてREACH規制の高懸念物質リスト(SVHC)に追加する予定である。

ビス(α,α-ジメチルベンジル)ペルオキシド
  • CAS RN 80-43-3
  • 用途:工業用として、ポリマーやゴム等の製造(反応補助剤、重合開始剤、架橋剤等)に用いられるため、木材(床、家具、おもちゃ)、石材、石膏、セメント、ガラス、セラミックス(皿、鍋、食品保存容器、建材)、プラスチック(食品包装、おもちゃ、携帯電話)等の製品に含まれている。
  • 生殖毒性が懸念される。(区分1Bに分類される)
トリフェニルホスフェート
  • CAS RN 115-86-6
  • 用途:可塑剤や有機リン系難燃剤として、プラスチック、ゴム製品、接着剤、シーラント等に用いられている。
  • 環境生物に対する内分泌かく乱作用が懸念される。in vitro試験において、エストロゲン活性が認められ、魚類の繁殖性に関する研究では、生殖細胞の成熟阻害、受精率の低下等が認められている。

参考資料

欧州委員会共同研究センター(JRC:Joint Research Centre, European Commission)は、自動車等のタイヤの摩耗によりマイクロプラスチックが発生し、環境汚染の原因となり得るとする研究報告を発表した。

タイヤの摩耗により発生するタイヤ粒子は、タイヤトレッドと道路表面との摩擦によって生成され、環境に放出されるマイクロプラスチックの重要な発生源となっている。これは全マイクロプラスチックの約1/3~1/2と推定される。これらのタイヤ粒子の大部分は雨水等により土壌や水系に拡散し、少量は大気中に放出される。

欧州では年間に50万トン以上、世界では600万トン以上のタイヤ粒子が排出されていると推定される。排出されるタイヤ粒子の質量分布は通常2峰性で、20〜200μmおよび2〜10μmにピークがある。これらタイヤ粒子は、自動車等から発生する粒子状物質(PM)の5~30%と推定され、環境全体のPM排出の約5%に相当する。

これらの推定値はさまざまな変動要因を含んでいるが、排出量はタイヤ、道路、車両、運転スタイル、および環境などに依存している。摩耗率は、タイヤの重量と走行距離から算出でき、PMは車輪に近い場所でサンプリングすることで測定可能である。乗用車のタイヤ摩耗に関する実車測定(オンロード測定)では、摩耗量は110 mg/km/車両または68 mg/km/tであるとされている。PM10の排出は1.4~2.2 mg/km/タイヤで、粒子数は約1010 #/km/タイヤであった。PM10の比率は約2.5%であり、この内の約40%がPM2.5と推定された(PM2.5/PM10比)。ただし、オンロード測定では、測定に影響する可能性があるバックグラウンド粒子、再浮遊粒子、道路の摩耗、ブレーキ粒子等の問題があること、また、オートバイ、小型商用車、バス、トラックについてはほとんどデータがない等の課題も多い。

タイヤ摩耗への対策については、現状では、タイヤ製造時の油中の多環芳香族炭化水素(PAHs)の制限、およびEuro 7規制によるタイヤ摩耗率の低減が提案されているが、タイヤ粒子による環境影響を軽減するためには、粒子の発生を抑制し、発生した粒子を回収する新たな技術が必要である。

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